名画とペンギンが織りなす世界|松島佳世個展『ペンギンがいる』

2026年10月30日から、Feel Records 京都はなれ店併設の「ギャラリーにかい」にて、松島佳世個展『ペンギンがいる』が開催されます。当展示の開催にあたり、アーティストのバックグラウンドや個展の見どころについてお話を伺いました。

日常の感性から浮かぶ名画とペンギン

自己紹介をお願いします。

松島佳世と申します。大阪を拠点としたイラストレーターです。作家活動は2004年からはじめました。絵に関しては独学です。大学では美術史を専攻しました。作家としては、ペンギンパスティーシュ(芸術模写)絵師と名乗り、主にペンギンと名画をかけ合わせた作品を制作しています。

絵を描き始めたきっかけを聞かせてください。

小さい頃から漫画やイラストを落書き程度に描いていましたが、どちらかというと、自分で描くよりも博物館や美術館で絵を見る方が好きでした。

ペンギンを描き始めたきっかけは、息子が幼い頃、彼が小憎らしいペンギンのように見えたことです。少し自虐も込めて、そのペンギンのキャラクターを作りました。それが、今の作家活動につながったきっかけといえば、きっかけです。

影響を受けたアーティストや作品を教えてください。

影響を受けた作家や作品が多すぎて選べません。古代から現代アートまで、さまざまな影響を受けています。でも、あえて挙げるならエッシャーとゴッホです。

エッシャーの図版は物心がつく前からずっと眺めていました。あのなんともいえない理性的で摩訶不思議な世界観に惹かれます。ゴッホは中学生のときに初めて画集で出会いました。情熱的で感情があふれ出る絵に圧倒され、「彼について知りたい。美術史を学ぼう。」と思いました。

作品で表現しているものは何ですか?

私は、何かを感じたとき、そのときの自分の感性に合う過去の名画が頭に浮かぶことがあります。そして、そこにペンギンが見えてくると、描かずにはいられなくなります。

そのときの感性は、世相や社会との関わり、人との関係、個人的な体験、日常の些細なことから生まれます。かなりプライベートな感性です。それを表現することがはたして正しいことなのか、いつも考えます。

ただ、そうした感性を、ペンギンというキャラクターを通して名画を引用して表現することで、言葉では表現しきれない普遍的な何かが、鑑賞者の心に生まれると信じています。

ルドン、モネを基にしたペンギンパスティーシュ

ギャラリーにかいで開催する個展のコンセプトを教えてください。

「ギャラリーにかい」さんはレコード針の会社が経営していると聞いて、一番初めに頭に浮かんだ名画が、ルドン《目=気球》でした。あの大きな目がレコードに思え、そこにペンギンがぶら下がってこちらに飛んでくる。たとえ今がどうであれ、これからの未来に何かワクワクすることをペンギンが運んできてくれる、というイメージが湧きました。

そこから、ルドンと同じ年に生まれたモネ、ギャラリーのすぐ近くにある京都水族館、そこに暮らす絶滅危惧種のケープペンギン、そして、レコードもかつては絶滅の危機にあったことなど、いろいろな想像がどんどん広がっていきました。よって、「そのどの世界にもペンギンがいる」という、私の妄想の世界がコンセプトとなります。

今回の個展では、どんな作品が展示されますか?

ルドンの「黒の時代」から「色彩の時代」までの作品をもとにしたペンギンパスティーシュ(芸術模写)作品、モネが日本文化に傾倒していた頃の作品、そして晩年の《睡蓮》をもとにした作品をメインに展示します。

ペンギンのレコードも作りました。もちろん偽物なので聴くことはできません。どんな音がするのか、想像してほしいです。そのほか、ギャラリーの近くにある京都水族館からインスピレーションを受けた作品なども展示します。

松島さんにとって、表現とは?

私は何かを主張するよりも、「自分はこう見えた」というものを他者に見える形にする、ただの画家に過ぎません。私にとって表現とは、自分の中に生まれた饒舌な感性を、名画やペンギンを用いて外に出すことです。それが誰かの中で、別の何かとして芽生えればいいと思っています。

松島佳世

大阪生まれ。帝塚山学院大学美学美術史学科卒業(西洋美術史専攻)。住宅メーカーに就職し、インテリアコーディネーターとして勤務。結婚、子育てを経てフリーのイラストレーターとなる。その後、古今東西の名作とペンギンを掛け合わせ、いままで誰も見たことのない世界観の構築をコンセプトに、「ペンギンパスティーシュ(芸術模倣)絵師」として作家活動を開始。油彩、アクリル画を中心に、壁画、立体、イラストなど幅広い表現で制作。作品集『ペンギン美術館』(青心社)

  • 2026「新宿ペンギンバザール」(東京・小田急百貨店新宿店)
  • 2026「ペンギンアートリウム in AOAO SAPPORO」(北海道・AOAO SAPPORO)
  • 2025「ペンギンアート展ファイナル」(東京・東京芸術劇場)
  • 2024「マナツノユメ 松島佳世 展」(大阪・不二画廊)
  • 2024「mini◯民」(東京・日本橋 Sansiao Gallery)
  • 2020「MASTERPIECE PENGUIN」(大阪・乙画廊)
  • 2019「松島佳世 個展」(東京・銀座ニッチギャラリー)
  • 2019「松島佳世 個展 ペンギン美術館 Part 2」(長崎・長崎ペンギン水族館)

松島佳世 Instagram:https://www.instagram.com/kayo5556/

松島佳世個展『ペンギンがいる』

会期:2026年10月30日(金)〜11月7日(土)
※休廊日:11月4日(水)、5日(木)
10:00~18:00
※最終日のみ17:00閉廊
入場無料