京都の老舗クラブで迎えた1周年『METRO de Night?』13名のDJがレコードでつないだ熱い夜

この春、1周年を迎えた Feel Records 京都はなれ店のアニバーサリーイベント「METRO de Night?」が、京都の老舗クラブMETROで開催されました。4月の初めにもかかわらず、Tシャツで過ごせるほどの晴天に映える満開の桜。METROのすぐ前を流れる鴨川沿いには、お花見を楽しむ人々の賑わいが広がります。最高の天気に恵まれたこの日、Feel RecordsゆかりのDJがMETROに集い、ジャンルを超えたレコードのセレクトで会場を盛り上げてくれました。

私たちが製造するレコード針の直営店として京都市にオープンしたFeel Records 京都はなれ店では、レコードにフォーカスしたイベントの開催に注力してきました。誰でも気軽に参加できるアナログDJイベント「DJ de Night?」では、DJデビューを飾る初心者から、シーンを代表するプロDJまで、幅広い方々に出演いただいています。

年齢やジャンルを超えて調和するDJ de Night?の様子を見て、音楽の持つ力を改めて実感し、こうした感動が、METRO de Night?開催のきっかけになりました。

会場のClub METROは、1990年にオープンし、今年で35年を迎える日本で最も長い歴史を持つ老舗クラブです。クラブ黎明期から独自のブッキングで、音楽やアートなど様々なカルチャーの発信地として、多彩なアーティストを輩出しています。

京阪電車・神宮丸太町駅へと続く地下道の出入り口をおりると、突然に現れるClub METRO。とても珍しい場所にあるクラブシーンの最重要拠点で、METRO de Night?は行われました。

イベントの集合時間を迎えるとともに、会場に集まる出演者の皆さん。DJ de Night?をきっかけに実現したMETRO de Night?には、DJ de Night?に参加してくださった全てのDJに出演をお願いしました。

遠くは埼玉をはじめ、全国から集まったDJは総勢13名。イベント当日に初めて顔を合わせる方々ばかりで、クラブでDJをする機会が少ない方も多く、リハーサル中は独特の緊張感が漂っていました。

リハーサルが進むなか、緊張した様子を見せていたのが、りかこザウルスさん。彼女は昨年末に開催したDJ de Night?でDJデビューを果たし、今回がそれ以来のDJで、しかもクラブでのプレイは初めてとのこと。そんなの緊張しないはずがありません。それでも、ゲスト出演する先輩DJと積極的に交流を図る彼女の様子を見て、METRO de Night?を開催して良かったなと感じました。

準備は順調に進み、残る不安は集客だけとなりました。初めてのクラブイベントということもあり、集客についての不安は最後まで拭えませんでした。そんな心配をよそに、オープンを迎えた会場には、たくさんのお客さま。オープン早々から足を運んでくださるその光景に喜びと安堵を覚えました。

二部構成で行われたMETRO de Night?の前半は、DJ de Night?出演者によるde Night? DJ’sがプレイを披露してくれました。

ひとりあたりの出演時間は20分と限られていましたが、お気に入りのレコードでフロアを盛り上げるde Night? DJ’s。それぞれのお気に入りを詰め込んだジャンルレスなセレクトは、アクション映画のように劇的に展開していきます。カオスに陥りそうな雰囲気ですが、違和感なく調和するde Night? DJ’sのプレイに、私たちのスタイルを垣間見ることができました。

抽選会で盛り上がったブレイクタイムを挟み、イベント後半がスタート。METRO de Night?のホストを務めるDJ SHARKの登場です。Feel Records 京都はなれ店の番頭としてお店を支える彼は、京都ヒップホップシーンの重鎮としてカルチャーの発展に寄与してきた人物です。古くからの縁が、今回のMETRO de Night?開催につながりました。

キレの良いドラムスクラッチでフロアの注目を集めるDJ SHARK。ビートを刻むのは、イベント当日に発表されたレコード針の新製品「KOKUTAN 黒檀」です。京都はなれ店の1周年を記念して誕生したこのモデルは、DJ SHARKのこだわりを形にした一品です。DJ用のレコード針に最適な木材を選び抜き到達したサウンドで、そのポテンシャルを見せつけました。

この日一番の盛り上がりを見せたDJ SHARKのパフォーマンスに続いては、着物姿のDJ AYAさん。京都はなれ店の人気企画、お着ものレコードBar「おうせ」でカウンターレディを務めるAYAさんが、この日はDJで魅了しました。

和物レコードのセレクトで、妖艶な雰囲気を作り出すAYAさんですが、その後の流れを考慮して、日本語ラップの名盤で渡すあたりは流石でした。

イベントもいよいよ大詰め。ここからは、日本のブラックミュージックシーンを代表するプロDJたちが登場しました。

DJ de Night?の記念品「DJネーム入りのレコード針が欲しくて」と、本名で応募してくださったDJ HIYOCOさん。そんなご縁で今回のMETRO de Night?にも出演いただきました。DJ de Night?でのパフォーマンスを見て、「クラブでも体験してみたい」と感じた HIYOCOさんのプレイは、やっぱり最高でした。

ソウルやダンスクラシックなどのヒットチューンに、マイクパフォーマンスを重ねて生み出す一体感はまさに職人技。もはやガイダンスの領域で、DJの真髄を見せていただきました。

METRO de Night?のトリを飾るのは、BEAT TRICKS。DJ SHARKの盟友DJ SANCONさんとDJ SUWAさんの出演により実現したBEAT TRICKSの久しぶりのパフォーマンスに、フロアの熱気は最高潮に達しました。

京都のヒップホップシーンを支えてきた重鎮たちが、ホームとも言えるMETROで披露した圧巻のターンテーブリズムに、オーディエンスは釘付け。その素晴らしいセッションを記録しようと、多くのお客さんが掲げたスマートフォンの光が、まるでペンライトのようにフロアを照らしていました。

沸点に達したフロアの熱気に呼応するように、ダンサーたちが円を組み、サイファーが始まりました。de Night? DJ’sとして参加した、りかこザウルスさん、宇宙君、Tenshow君はダンサーとしても活動しており、当日はその友人たちも多く来場してくれました。

ひとりずつ円の中央に出てパフォーマンスするダンサーたち。なかでもキレのあるダンスを見せてくれたTenshow君と宇宙君は、DJとはまた違った表情で、自信に満ち溢れているように感じました。どのダンサーのパフォーマンスも個性的で、素晴らしかったです。皆さんに会場を盛り上げてもらえて、とても楽しいひとときでした。

総勢13名のDJによる5時間にわたるイベントも、終わってみればあっという間の出来事でした。初めてのクラブイベントの開催に不安もありましたが、当日は多くのお客さまにお越しいただき、たくさんの愛情を感じることができました。ご来場いただき、ありがとうございました。

また、出演者やスタッフ、これまでFeel Recordsを支えてくださったすべての方々の温かなサポートに心から感謝いたします。

これからもFeel Recordsらしいスタイルで、レコードとDJカルチャーの魅力を発信していきたいと思います。来年もまたこの場所で、皆さんとお会いできることを楽しみにしています。