KG+ 2026|「杉野信也」「西岡さと子」写真展開催のお知らせ

今年で14回目を迎える「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」。そのサテライトイベント「KG+」の展覧会場として、Feel Records 京都はなれ店ギャラリー「にかい」にて、2026年4月15日(水)から写真展を開催します。

KG+とは

2013年にスタートした「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」は、寺社、町家といった京都ならではの建物やモダンなギャラリーなど、京都市内に点在する会場を、街歩きしながら観覧できる、体験型のフェスティバルです。

KG+」は、このKYOTOGRAPHIEのサテライトイベントとして開催される公募型のアートフェスティバルです。京都から新たな才能を世界に送り出すことを目的に、活躍が期待される写真家やキュレーターの展覧会を開催しています。

Feel Records 京都はなれ店ギャラリー「にかい」では、2組の写真家の展示をお届けします。

杉野信也 写真展 Hands “pins and needles”

2026年4月15日(水)~5月3日(日)は、KG+ PICK UP Program No. 14 杉野信也 写真展:Hands “pins and needles”を開催します。本展示は、特に注目される展示として、PICK UPカテゴリーに選出されました。

Copyright © Shin Sugino All Rights Reserved

展覧会に寄せて

「手」は、国境や時代を超えて、その精神性や文化、文脈によって多様な意味を帯びてきた。身体の一部でありながら、手は単なる器官ではない。美術史家アンリ・フォシヨンは『手の讃歌(Éloge de la main)』において、「精神と世界を媒介する創造の主体」と記した。思考や感情は、手を通して初めて世界に触れ、かたちとなる。その意味で、手は精神が可視化される場所とも言えるのです。

能や歌舞伎において手の所作が強調されるのも、そこが「心が世界に触れる境界」であると考えられているからである。とりわけ能では、面によって表情が覆われ動きも最小限に抑えられる制約の中、手の角度や高さが、感情を表現する上で重要な役割を果たしている。静かに胸元に添えられた手は悲しみや内省を、扇をゆるやかに掲げる手は祈りや回想を、袖で顔を隠す仕草は涙や嘆きを表現するなど、ささやかな動きの中に、心の広がりが映し出されるのです。

本作は、作家が世界各国で50年以上にわたり撮影してきたさまざまなシリーズのなかから、「手」というモチーフを集めたものである。“pins and needles”とは、ひりつくような感覚を指す言葉であり、感覚が鋭く研ぎ澄まされると同時に、不確かさをもはらんでいる。

手は何かに触れ、確かめ、創り出すことができると同時に、誰かへと差し出される存在でもある。握手は約束、差し伸べられた掌は救済、重ねられた指先は沈黙のうちに共感を伝える。両手を静かに合わせるとき、それは祈りとなる。ときに手は、言葉よりも深く、他者や世界と触れることができるのではないだろうか。

ギャラリー冬青 野口奈央

杉野信也 プロフィール

大阪生まれ。19歳でカナダに移住。オンタリオ州トロント市のライアソン大学で写真、映画を専攻。その後、同市ヨーク大学美術学部の講師を務める傍ら、写真作家としてのキャリアをスタートさせる。1980-1986 年には活動の場を広げ、カナダ、米国、スペイン、オーストリアの各国にて長編劇場映画のスチール写真カメラマンとして活躍。1986 年に広告写真スタジオ “Sugino Studio” を創設。1995 年カナダで初の完全デジタルプロダクションシステムを確立、カナダの広告映像作家の第一人者としての地位を築く。以後、写真だけでなく、テレビCMのディレクターや撮影監督などの分野でも活動を続ける

これまでに、各種の国際的な賞を受賞。1988 年、2002年にカンヌ国際広告映画祭で金獅子賞、2006年には同広告映画祭サイバー部門でも金獅子賞を獲得。この他、Clio Award Gold、The One Show、The Advertising and Design Club of Canada,Applied Ar ts Magazine、Photo District News、Communication Ar tsMagazine、Lürzer’s Archive Magazineなどで数々の賞に輝く。

広告写真、コマーシャルの制作の傍ら写真作家活動を常に続けており主に古典技法の湿板写真、プラチナプリント、フォトポリマーグラビュールのプリントで作品を数々の写真展で発表。写真作家としての作品はカナダ国立美術館、Ontario ArtsCouncil Collection、Banff School of Fine Arts Collectionや、数多くのプライベートコレクションに収められている。

Copyright © Shin Sugino All Rights Reserved

KG+ PICK UP Program No. 14 杉野信也 Hands “pins and needles”

会期:2026年4月15日(水)~5月3日(日)10:00~18:00
※初日12:00オープン、最終日16:00クローズ
※休廊日:4月20日(月)、21日(火)、22日(水)、27日(月)、28日(火)
KG+オフィシャルページ

西岡さと子 写真展 Voice of Water

2026年5月4日(月)~5月17日(日)は、KG+ Program No. 173 西岡さと子 写真展 Voice of Waterを開催します。

Copyright © Satoko Nishioka All Rights Reserved

展覧会に寄せて

水は、この世界の循環を静かに支える存在である。
絶えず姿を変えながら、決して止まることなく動き続けている。
雲、雨、川、そして海を巡りながら、水は遠く離れた場所と時間を結びつけている。

この終わりのない動きの中で、水は記憶の痕跡を運ぶ。
それは風景や気候、そして時間の流れの刻印を宿している。
波紋や反射、風に揺れる水面のように、一瞬の現象に見えるものも、実ははるかに長く深い循環の一部である。

パナマでは、この水の存在がとりわけ鮮明に感じられる。
降り続く雨、熱帯の湿気、川の流れ、そして周囲の海と地峡が、土地のリズムとそこに生きる人々の歴史や営みを形づくっている。

これらの作品は、水の静かな声──記憶に耳を澄まそうとする試みである。
その声は、動き、光、そして反射の中に現れる。
水の流れを見つめることで、本作は水を「記憶し、変化し、あらゆるものを結びつける存在」として捉えようとしている。

西岡さと子

西岡さと子 プロフィール

神奈川県横浜市生まれ。2012年より写真を中心としたビジュアル作品の制作を開始。時間や記憶、環境の変化といった主題を背景に、風景や物質の境界に現れる感覚を探求している。2020年以降は手製本による写真集の制作にも取り組み、作品の物質性と触覚的体験の関係性を展開している。

Copyright © Satoko Nishioka All Rights Reserved

KG+ Program No. 173 西岡さと子 Voice of Water

会期:2026年5月4日(月・祝)~5月17日(日)10:00~18:00
※最終日16:00クローズ
※休廊日:5月6日(水・祝)〜8日(金)、11日(月)、12日(火)
※作家在廊日:5月4日(終日)、5日(イベント終了まで)、9日(12:00頃〜)、10日(終日)、13日〜17日(終日)
KG+オフィシャルページ

レコードとアートが共鳴する、ギャラリー「にかい」

築およそ100年、京町家の息づかいを感じる大人の空間「Feel Records 京都はなれ店」。急勾配の隠し階段を上ったその先に、ひっそりと佇むギャラリー「にかい」は、レコードが静かに流れるなか、ゆっくりと作品に向き合っていただけるアート空間です。

春の京都散策の折に、あるいは写真祭を巡る旅の途中に。レコードとアートが共鳴するこの場所で、感性に響く一期一会の出会いをお愉しみください。