レコード文化のまち新温泉町で「レコード屋大賞」が初開催

Feel Recordsが所在する新温泉町主催の「レコード屋大賞」が、初めて開催されました。このユニークな企画が誕生した背景や実際の運営について、イベントを主催した新温泉町の商工観光課の担当者さんに、お話しを伺いました。

「レコード屋大賞」の運営を通して担当者さんが感じたレコードの本質とは?「レコード」をキーワードにした新温泉町の町おこしに迫ります。

「レコード屋大賞」開催の経緯を教えてください。

新温泉町は古くから縫い針や特殊針の生産が盛んな地域で、世界的にも希少なレコード針の生産地でもあります。現在、町内では日本精機宝石工業と奥田製針の2社が針製品を製造していますが、その多くは町外へ出荷されていることもあり、町内における針産業の認知度は低いのが現状です。

そこで、町制20周年の節目に、町内外の方々に新温泉町の針産業やレコード文化を再認識していただく機会として「レコード屋大賞」の開催に至りました。

「レコード屋大賞」はどのような形式で行われたのですか。

テーマに沿ったレコードとエピソードを募集し、審査を行う形で実施しました。今年のテーマ「温」に合う「推しの一枚」とそのエピソードを広く募集したところ、たくさんの応募が集まりました。

今回が初開催となる「レコード屋大賞」の認知を広げるのは大変だったかと思います。どのように訴求されたのですか。

ラジオ関西の番組での宣伝や、レコード関連事業者へのチラシ配布など、広範囲へのアプローチを実施しました。また、町内では、全戸へのチラシ配布や、新温泉町ホームページでの情報掲載を通じて、町民の皆さんにもイベントへの関心を高めてもらえるよう努めました。

特に、レコード関連事業者からの発信は、レコード愛好家の方々に対する「レコード屋大賞」の認知度向上につながり、応募も増えたのではないかと感じています。

新温泉町町長、町議会議長、商工観光課の皆さん

どのような方々からの応募がありましたか。

50代以上の方からの応募が多かったです。元々レコード世代でもありますし、退職後の趣味として、レコードを聴かれている方が多いことの表れかと感じています。

一方で、数こそ多くはありませんが、20代や30代といった若い世代からの応募もありました。中には、レコード好きの親御さんと一緒に聴いていた当時の思い出や、ご家族との心温まるエピソードを綴ったものもあり、世代を超えたレコード文化の広がりを感じました。

選考はどのように行われたのですか。

まず初めに、「レコード屋大賞」の担当課である新温泉町商工観光課にて、応募の精査を行いました。続いて、町内を中心とした有識者による採点に基づき、厳正な審査を実施し、大賞と優秀賞を選定しました。

受賞された応募は、エピソードを読むだけで、その時の感情や風景が鮮やかに浮かび上がり、人の心を揺さぶるような魅力に溢れていました。

第1回レコード屋大賞の「大賞」を受賞したハナッペさん

たくさんのエピソードを通して、レコードと人との関わり合いについて感じられたことを教えてください。

応募に寄せられた「珠玉の一枚」は、他の人にとってはただのレコードかもしれません。しかし、本人にとっては当時の記憶を蘇らせ、心を癒すかけがえのない宝物であり、人の心を強く揺さぶるツールであることを実感しました。

また、レコードは五感を刺激する体験、温かみのある音色、所有する喜び、音楽との深いつながり、コミュニティの形成など、単なる音楽媒体を超えた価値を兼ね備えていることを再認識しました。

レコード屋大賞表彰式も行われましたね。

11月3日のレコードの日に、湯村温泉の「薬師湯前広場」で、レコード屋大賞表彰式を開催しました。ラジオ関西の公開録音を兼ねたイベントには、パーソナリティにばんばひろふみさんと久米村直子さんをお迎えして、受賞者の表彰式と共に、レコードとエピソードの紹介が行われました。

表彰式の前日にはDJイベントを開催したり、応募のあったレコードにエピソードを添えた「レコードジャケットアート展」も同時開催するなど、来場者の皆さんにレコード文化を楽しんでもらえる工夫を凝らしました。

レコード屋大賞表彰式のパーソナリティを務めたばんばさんと久米村さん

会場の雰囲気はいかがでしたか。

表彰式会場は、ラジオの公開録音という特別な雰囲気に包まれ、パーソナリティのお二人の軽妙な進行に、皆さん釘付けでした。会場全体に響き渡るレコードの音色と、それに添えられた心温まるエピソードに聴き入る様子は、イベントの一体感を象徴する、とても印象的な光景でした。

多くのお客さんで賑わうレコード屋大賞表彰式

新温泉町では、その他にも「レコード」をキーワードに、町おこしが行われていますね。

今回のイベントに協力いただいた「一般社団法人シン音泉」では、全但バス待合所2階の「TOJI」などを拠点に、定期的にレコード関連イベントを開催されています。

また、町内の宿泊施設や飲食店、まち歩き案内所リフレッシュパーク・薬師湯といった公共施設にもレコードプレーヤーが設置されているので、レコードを身近に感じてもらえるスポットがたくさんあります。

レコードに馴染みのない若い世代にも、新温泉町の針産業の歴史やレコードの魅力を知ってもらいたいので、今後も積極的に情報発信を続けていきたいと思います。

「TOJI」にて開催された前夜祭!DJナイト

「レコード」に関連する新温泉町の取り組みについて、今後の展望を教えてください。

初開催となった「レコード屋大賞」が、新温泉町の顔となる継続性のあるイベントとして定着することを願っています。このイベントを継続的に開催することで、新温泉町の針産業やレコード文化に対する認知度はさらに高まっていくと確信しています。

そして、新温泉町が「針のまち」、「レコード文化のまち」として広く認識されることを目指して、今後も官民一体となり、このユニークな地域資源を活かした町おこしに取り組んでいきます。


レコード屋大賞表彰式の公開録音について

11月3日に開催された「レコード屋大賞表彰式」の公開録音が、radikoでお聴きいただけます。

  • 関西圏での聴取: 2025年11月19日まで、エリアフリープランで聴取可能です。
  • 関西圏外での聴取(全国) radikoのダブルプランをご利用の場合、放送日から30日以内であれば全国各地で聴取可能です。

公開録音では、来年の「レコード屋大賞」のテーマについても触れられています。ぜひ、お聴きください。